くすりの毒性・5
クロミフェン—薬理作用の種差
高橋 日出彦
1
1東京医科大学生理学科
pp.507
発行日 1976年5月1日
Published Date 1976/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917877
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ヒトという動物はたいへん都合よくできていて,ついつい自己中心に考えがちなものです.くすりの毒性ということについても,実に勝手な考えをしたがるものです.そのよい例には避妊薬があります.女性を不妊にする作用は,それ自体としてみれば立派な毒性です.しかし避妊剤の場合は,不妊が目的の効果で,ほかの作用は副作用というわけです.
避妊薬というものが,いかに長い間人類の求めてやまなかった薬であったかは,人類の歴史につきまとう堕胎という暗い事象を考えれば理解できるでしょう.
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