今月の臨床 着床
着床はどこまでわかったか
4.着床と免疫,サイトカイン
久保田 俊郎
1
1東京医科歯科大学産婦人科
pp.32-36
発行日 1997年1月10日
Published Date 1997/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902799
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近年,生殖免疫学の進歩により,着床に免疫因子が深く関与しており,とくに胚やトロフォブラストと子宮内膜細胞,免疫担当細胞の間で,サイトカインを介する相互作用のあることが明らかになってきた1).リンパ球やマクロファージなどから放出されるこのサイトカインは,局所における免疫抑制だけでなく,内分泌腺細胞,各種成長因子や細胞外マトリックス産生細胞に対しオートクリン/パラクリン的に作用し,脱落膜や初期胚の発育・分化への複雑かつ微妙な機能調節を行っていると考えられる.この項では,着床過程での胚と子宮内膜の間の複雑な相互調節作用における,免疫機構,とくにサイトカインの生理的役割を中心に概説したい.
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