今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
副作用とその対策
6.ホルモン剤によるアレルギーとアナフィラキシー
西尾 裕子
1
,
永田 直一
1
1防衛医科大学校第三内科
pp.1316-1317
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902699
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アレルギーとは免疫機序を介して起こる生体に有害な反応のことで,I型(即時,IgE依存型),II型(細胞障害型),III型(免疫複合体病型)およびIV型(遅延型)に分けられ,アナフィラキシーはI型に属する.アナフィラキシー症状は原因物質投与後,5〜10分程度で発生し,口唇や四肢末端しびれ感,めまい,不安感,咳嗽などの前期症状に続き,蕁麻疹,皮膚潮紅の出現,次いで血圧低下,循環不全に伴う意識障害,呼吸困難,喘鳴などの気道狭窄症状を起こし,死亡する場合もある.治療は緊急を要し,直ちに血管や気道の確保,エピネフリン,副腎皮質ステロイド剤.そして,状況に応じてキサンチン剤,塩酸ドパミンを投与する.薬剤に対する予期せぬ異常反応には免疫機序を介さないで起こる不耐症および特異体質によるものもあるが,機序を明確にできない場合が多く,一括して薬剤過敏症と呼ばれることが多い.
産婦人科領域では多種類のホルモン剤が用いられていてそれぞれに各種のアレルギー反応が知られている.日本医薬品集1)を参考にしておもなものを取り上げた.
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