今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
ホルモン療法のポイント
5.子宮内膜症
鶴長 建充
1
,
植木 實
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.1286-1288
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902689
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子宮内膜症のホルモン療法は,妊孕能向上を目指す場合と,根治性追求を目指す場合とで,今後ますます特殊化し二分化すると思われる,妊孕能向上では,保存手術との併用や排卵刺激におけるGnRH作動薬の応用など,治療法の選択肢は広がり成果を挙げてきた.一方,根治性追求では,GnRH作動薬6か月投与の場合,治療後2年で約半数,4年で約8割が再発再燃するのが現状1)であり(図1),根治手術や閉経までの場つなぎ的治療法であることは否めない.根治性追求のためには薬物的去勢状態を長期間維持する必要があるが,最近,①各種臓器におけるエストロゲン感受性とその補充理論2),②骨塩量低下や更年期病態に対する更年期医学の発展,さらに③GnRH作動薬投与法のコンプライアンス向上やGnRH拮抗薬の登場3)など,根治性追求においても新たな発展への環境は整いつつある.この点を踏まえて,ホルモン療法による根治性追求について新しい動向を述べてみたい.
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