今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
Overview
ホルモン療法の最近の動向
田中 俊誠
1
,
児玉 英也
1
1秋田大学医学部産婦人科
pp.1244-1247
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902677
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ホルモン療法が産婦人科診療の大きな部分を占めることは言うまでもなく,産婦人科医はホルモンによる治療を行うため,ホルモンに関する正しい知識を持つことが要求される.この分野は新たな知見が次々と登場し,かつ基礎的研究の成果が比較的容易に治療法の変革をもたらす可能性のある領域である.したがって,産婦人科医はホルモン療法を行うにあたって,つねに最新の情報に関心を持っていなければならない.そのようなことから,今回,「新しい動向を探る」という副題のもとで産婦人科ホルモン療法の特集が組まれたことは,実に有意義なことと考えられる.実際に,近年の分子生物学・細胞生物学の進歩は,ホルモンの人工的合成を可能にしただけではなく,ホルモン作用機序の解明に飛躍的な進歩をもたらした.
卵巣機能の新たな知見も集積されており,その結果産婦人科のホルモン療法は,各領域で新たな局面を迎える,または迎えつつある現状にあると思われる.このOverviewでは広範な産婦人科のホルモン療法のすべてに触れる余裕はないので,とくに日常臨床で問題となることの多い,排卵誘発法と閉経婦人に対するホルモン補充療法(HRT;hormone replacement therapy)に絞り,最近の新しい知見や今後の治療法の展開の可能性について述べたい.
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