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特集 下垂体:前葉
総説
下垂体前葉ホルモンの生化学—最近の研究動向から
Biochemistry of anterior pituitary hormones: some recent progress
宇井 信生
1
,
與良 隆雄
1,2
Nobuo Ui
1
,
Takao Yora
1,2
1群馬大学内分泌研究所物理化学部
2現在:埼玉医科大学生化学教室
pp.364-372
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903275
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はじめに
内分泌学の教科書を開いて下垂体前葉ホルモンの項を調べると,普通つぎの6種類のホルモンが順不同であげられている。
副腎皮質刺激ホルモン(corticotropin,ACTH)
成長ホルモン(somatotropin)
プロラクチン(prolactin)
甲状腺刺激ホルモン(thyrotropin,TSH)
黄体形成ホルモン(lutropin,LH)
卵胞刺激ホルモン(follitropin,FSH)
LHとFSHはともに性腺に作用するのでゴナドトロピンとしてまとめて記されていることが多いが,その他の記載順序は著者あるいは編者の好みが優先しているようにみえる。他方これら6種類の他に,従来下垂体中葉ホルモンとされるのが普通であった色素胞刺激ホルモン(melanotropin,MSH)も,化学構造上ACTHと共通の部分をもつばかりでなく,前葉にも存在することが明らかになった。またLiらによって見出され,弱いながらく,脂肪動員作用をもつホルモンといわれるリポトロピン(lipotropin,LPH)はどう取扱ってよいのであろうか。このように下垂体前葉ホルモンとは何かという問いにすっきりとした答が出せないのが数年前までの状況であったといえよう。
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