今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
ホルモン補充療法の動向
本庄 英雄
1
,
岩佐 弘一
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.1315-1319
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904771
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はじめに
ホルモン補充療法(HRT)は閉経周辺期のエストロゲン欠落に伴う血管運動神経障害による諸症状を改善するだけでなく,骨粗鬆症,動脈硬化やアルツハイマー病の予防に有効であるとされ,閉経後女性のQOLを向上させるものと期待されている.残念ながらHRTに関して,本邦では十分なコンセンサスが得られておらず,欧米諸国に比してその普及率は極めて低い.HRTの普及に障害となるのは,子宮内膜や乳腺に関連する副作用であり,なかでも不正出血は患者にとって最も気にかかるところであり,臨床医にとっても対処の難しいところである.近年のHRTの動向は,コンプライアンスを高めることを主眼とし,より長期にHRTを継続するために,最大の懸念である不正出血を最小限に抑えるプロゲスチンの併用連続投与が注目されているようである.またHRTに代わる治療法として,近年着目されているselected estrogen receptor modulator(SERM)や,現在実験段階であるが有用性が期待されるnon-feminizing estrogenについて言及する.
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