今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
取り扱い方針について
3-1.卵巣境界悪性病変—思春期における卵巣境界悪性病変の取り扱い
波多江 正紀
1
1鹿児島市立病院産婦人科
pp.1040-1043
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902625
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小児婦人科の取り扱う疾患の中で,下腹部膨満感や腫瘍の触知などの主訴で来院する卵巣腫瘍は,月経異常や腟炎などと並んで珍しいものではない.もう少し見方を広げてみると,胎児期の卵巣嚢腫から思春期の充実性卵巣癌まで対象患者が存在することになる.しかしながら思春期以前の卵巣腫瘍の中では,充実性のgerm cell tumorを除けば,低年齢ほど悪性の可能性は低く単なる嚢腫であることが多いことが知られている.低悪性度や境界悪性腫瘍(low malignant potential:LMP)といわれる病気の頻度がきわめて低い1)(<1%)ことも,成人型の卵巣腫瘍と大きく異なる特徴とされている.また,この時期の卵巣腫瘍はつねに妊孕性保存の可否について術中判断が求められる.
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