今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
最近の知見
4.外陰境界悪性病変
柏村 正道
1
1産業医科大学産婦人科
pp.1016-1019
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902618
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子宮頸部の境界悪性病変については,異形成(Dysplasia)や上皮内癌(Carcinoma in situ)あるいはこれらを抱括した上皮内腫瘍(Cervical Intraepithelial Neoplasia:CIN)として数多くの研究があり,その病態は確立されているが,外陰の境界悪性病変については症例も少なく,十分な検討が行われていないのが現状である.外陰部の境界病変を理解するためには,用語の歴史的変遷を知ることが重要である.外陰の非腫瘍性病変には,従来より数多くの病名が使用されてきたが,同一の病変に対して異なる病名が使われることも多く,1975年,International Society for the Study of Vulvar Disease(ISSVD)は,ジストロフィー(Dystrophy)という概念を導入した(表)1).このジストロフィーは,従来の硬化性苔癬,外陰萎縮症,白斑症,増殖性外陰炎を抱括するもので,硬化性苔癬と増殖性ジストロフィーに分類され,後者はさらに異型を伴うものと伴わないものに分けられた.
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