原著
当科における過去4年間の腹腔鏡手術例の検討
武内 享介
1,2
,
藤田 一郎
1
,
中嶌 和彦
1
,
北垣 壮之助
1
,
古結 一郎
1
1千船病院産婦人科
2神戸大学医学部産婦人科
pp.102-105
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902401
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過去3年4か月間の腹腔鏡手術症例を経年的に検討し,以下の結果・結論を得た.婦人科手術における腹腔鏡の割合は増加し,その適応疾患のおもなものは卵巣出血,子宮外妊娠,卵巣嚢腫であった.卵巣出血に対してはほぼ腹腔鏡のみで対応可能であったが,子宮外妊娠,卵巣腫瘍についてはその施行率は約50%前後にとどまった.以上より,卵巣出血が疑われる症例に対しては診断的治療としての腹腔鏡が有用であるが,子宮外妊娠に関しては腹腔鏡の適応を拡大するためには未破裂状態での発見が必要であると考えられた.卵巣嚢腫に対しては現時点では悪性腫瘍が否定できない症例については開腹手術を施行せざるを得ないと思われる.
手術時間に関して,腹腔鏡で延長する傾向にあったが,手術手技の熟練によって短縮可能であると思われた.出血量は腹腔鏡例で低値を示したが,卵巣出血,子宮外妊娠に関しては術前の腹腔内出血が少ない症例が腹腔鏡の適応になったためと思われた.腹腔鏡例および開腹例で腫瘍径における差は認めなかった.
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