今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の基本操作
5.胚移植法
吉村 愼一
1
1済生会神奈川県病院産婦人科
pp.1081-1085
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902228
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●はじめに
イギリスにおいて,世界初の体外受精児—ルイズ・ブラウンが誕生したのは1978年であった.それまでいっさいの治療法がなく,妊娠を断念せざるを得なかった重度の卵管性不妊の患者にとって,そのニュースは大いなる福音となった.当初,卵管性不妊の治療としてスタートした本法も,適応が拡大され,男性不妊,免疫性不妊,また所詮,機能性不妊にも応用され成果を挙げつつある.適応の拡大のみならず研究が進むにつれ,卵巣刺激法や採卵法が改良され,最近では複数の良好な受精卵(胚)が得られるようになった.妊娠率も年々向上しつつあるが,その妊娠率に最も直接的に影響があると思われるのが胚移植である.胚が非観血的に体内に戻らなければ着床は期待しにくいので,各施設において創意工夫があると思われる.その胚移植につき,若干の考察を加え解説する.
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