今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の準備
7.体外受精のQuality Control
体外受精のQuality Control
森本 義晴
1
,
井上 剛
1
1河内総合病院不妊センター
pp.1023-1029
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902216
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体外受精・胚移植法が初めて行われるようになって15年になり,現在では小規模のクリニックでさえ簡単に行われるようになった.しかし,一定のレベルの成功率を維持することはなかなか困難でそのためには多くの時間と工夫を要する.成績維持の基本となるのがQuality Control(以下QC)である.体外受精プログラムは,QCに始まりQCに終わると言っても過言ではないほどにこれは重要である.当センターでも体外受精プログラムを始めて5年になり,現在では比較的水準の高いプログラムに仕上がったと自負しているが、ここまでの経路はけっして平坦ではなかった.時には,妊娠症例なしの状態が何週間も続いたことがあった.そのたびに,QCの是非を自分たち自身に問い直し,さらにチェックを重ねるという試行錯誤の連続であった.成績不振時のblack holeにはまったら,他施設の意見はあまり参考にならない.体外受精プログラムは生き物で,同じように運営されていると見えても微妙に施設施設によって内容が異なるからである.例えば,超純水の基となる原水は地域によって異なりまったく同じ条件とは言えなくなる.そこで,プログラム開始の時にできるだけ精度の高いQCの方法を確立しておき,成績不振時の緊急の際,うろたえないようにしておくことをお勧めする.
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