今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の準備
6.コメディカルの役割(エンブリオロジスト,ナース・カウンセラー)
コメディカルの役割(エンブリオロジスト,ナース・カウンセラー)
高橋 克彦
1
,
竹中 真奈美
1
,
吉岡 千代美
1
,
向田 哲規
1
1広島HARTクリニック
pp.1019-1022
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902215
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●はじめに
今回の阪神大地震は日本の行政が緊急時に機能しないことをはからずも暴露したが,その原因が古来より日本の風土である縦割り社会,それから生じるセクショナリズムであることはマスコミの論評に頼るまでもない事実である.翻って,われわれの医療社会を見てもまったく同様であり,医者の縦割り社会が先端医療にいかに弊害になっているか計り知れない.医療が医師とコメディカルのチームワークで成り立つことは言うまでもないが,日本の現状はこの関係が良好とは言えず,また医療社会におけるコメディカルの人の地位も低い.これらの現状がわれわれの目ざす生殖医療にも優秀なコメディカルの人材が入って来ない最大の理由と考えている.
海外の体外受精・胚移植(以下IVF-ET)の先進施設を見学されたことのある方はご存じであると思われるが,そのような施設には必ず優秀なエンブリオロジストと看護婦が一人はいる.当然論文なども医者よりもエンブリオロジストの方が多い.患者に説明をしたり悩みを聞いているのはナース・カウンセラーであり,彼女達を抜きにしてIVFプログラムは考えられない.
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