今月の臨床 難治性合併症を診る—産科
心血管系合併症
13.弁置換後妊娠
中林 正雄
1
,
東舘 紀子
1
,
武田 佳彦
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.1346-1347
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901949
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人工弁患者にとって妊娠・分娩は多大なリスクを伴う.母体にとっては妊娠・分娩による心機能への負荷,血液凝固能亢進による血栓塞栓症の頻度の増加.抗凝固剤による出血傾向のリスクがあり,胎児にとっては抗凝固剤による催奇形性,出血などのリスクがある.
一方,近年の周産期医療の進歩により,早期産低出生体重児の周産期死亡率は著明に低下し,そのintact survival rateは向上してきている.したがってこのようなハイリスク妊娠においては妊娠期間を短縮し,母体の負担を軽減することも可能となってきた.心疾患合併妊婦の分娩様式は経腟分娩が望ましく,帝王切開は極力避けるべきである,という原則にかわりはないが,最近の麻酔や母児管理の進歩に伴い,疾患によっては長時間を要する経腟分娩よりは,厳重な管理下での帝王切開が望ましいと思われる症例が増加してきている.
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