今月の臨床 婦人科医のためのオステオポローシス
定義・疫学
3.骨粗鬆症の疫学
福岡 秀興
1
,
日暮 眞
1
1東京大学医学部母子保健学
pp.1076-1078
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901868
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オステオポローシスの社会的背景
わが国は世界でもトップクラスの長寿国となりつつあり,1991年の推計調査では65歳以上の老齢人口は総人口の12.5%(1,553万人)である.この比率が2000年には16.3%(2,134万人),2020年には23.6%に達すると推定されている.すなわち急激な高齢化が進行しているのがいまの日本である,オステオポローシスは加齢と共に増加する疾患でありその対応が急がれている.浜松医大の調査1)によると,DEXA法で分析した結果最大骨量の−3〜−4SD以上の骨量減少で脊椎圧迫骨折が増加しており,骨折患者骨量の90パーセンタイル値は−3.4SDであった.そこでこの値以下の骨密度を骨折閾値としてそれ以下をオステオポローシスとして,その発症頻度を各年代ごとに算出したのが表である,骨折予備群は1988年で約970万人,2000年には約1,200万人,2010年には1,600万人と爆発的に増加していくことが予想される.
そのうち大腿骨頸部骨折は寝たきりの原因にもなり,生命の予後にも大きく関係するリスクの高い疾患である.1987年には年間約5万人が発症しており,その治療費は約400億円と推定される.アメリカのオステオポローシス罹患者は,1,500万〜2,000万人で,骨粗鬆症関連の骨折患者は年間120万人で,その治療費は6億ドルに達している.
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