臨床研修セミナー 手術手技
VII.外陰癌の手術
広汎外陰摘出術
山片 重房
1
Shigehusa Yamagata
1
1大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
pp.984-990
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900187
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Ⅰ.外陰癌手術術式の変遷
外陰癌の手術には凡そ80年にわたる長い歴史があり,その間多くの人々の手を経て術式の改善が行われてきた。そのため外陰摘出術にはそれぞれの発表者名がつけられている。とくにわが国ではさまざまな人名を冠した術式が異なる人々によって紹介されており,よく似た術式が,わずかな皮切法の違いによって,いろいろな名称で呼ばれているようである。
そもそも外陰癌の手術は,Basset(1912)が局所の広汎な切除に加えて鼠径リンパ節の郭清が必要であることを記述して以来,手術野を拡大する方向へと進められてきた。外陰切除と鼠径リンパ節郭清とを別の皮切によって行う術式を確立したのはKehrer(1918)である(図1A)。郭清部位の拡大を図って,左右の鼠径部の皮切を恥骨結合部で連結し,これに外陰切除のための皮切を連続させた結果,鼠径部と外陰部とが一塊となって切除されるようになったのがRupprecht(1912)の術式である(図1B)。皮切法の違いがあっても,両者ともに手術範囲は外陰と鼠径部にとどまっている。
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