今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割
胎盤の診断法
14.超音波診断法
丸茂 元三
1
,
岡井 崇
1
,
武谷 雄二
1
1東京大学医学部産婦人科
pp.993-994
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901845
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胎盤は超音波断層法で明瞭に描出される臓器であり,通常その同定は容易である.超音波による胎盤の観察に際しては、その付着部位,大きさ,形態異常の有無などを診断する必要がある.診断対象となる疾患は,前置・低位胎盤,胎盤早期剥離,巨大胎盤,膜様胎盤,分葉胎盤,胎盤血腫などであるが,それらを診断するためには,まず正常胎盤の妊娠週数に伴う超音波画像上の変化について知っておかなければならない.
妊娠週数が進むにつれて,胎盤の成熟過程がしだいに進行する,妊娠中期までは胎盤実質は均一でありechogenicな像はなく,絨毛膜板は明瞭で平滑である.中期以降は胎盤実質内にechogenicな部分が増加し,絨毛膜板は波うつようになる.実質内の血管像や,胎盤辺縁洞もみられるようになる.また胎盤中隔の発達で分葉化した像を呈することもある,末期には胎盤中隔に石灰沈着がおこり高輝度エコーとなるため分葉構造がより明瞭となり,その中心部は低エコーで周囲は輪状に高エコーの構造がみられるようになる.しかし,このような胎盤の形態変化すべてが妊娠経過中に起こるわけではなく,程度もさまざまで妊娠末期までほとんど変化の認められない例もある.
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