原著
超音波断層法による卵巣腫瘍の診断—一般臨床施設における超音波断層法の卵巣腫瘍の術前スクリーニング法としての評価
森 宏之
1
,
合阪 幸三
1
,
岡井 崇
2
Hiroyuki Mori
1
,
Takashi Okai
2
1長野赤十字病院産婦人科
2東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.781-785
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206331
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産婦人科領域での超音波断層法の有用性については,もはや議論の余地がないほど確定している。電子スキャン法の登場によって描写技術が簡易化されると同時にリアルタイム性が獲得され,またグレースケール法や収束機構の発達は読影をきわめて容易にした。この結果電子スキャンによる超音波断層法は専門家による特殊検査法から一般臨床家が行ないうる日常検査法となった。現在多数の施設が超音波断層装置を保有し,日常臨床に汎用されており,ことに産科領域では超音波断層装置なしでは診療が困難であるといってもよいほどである。
産科領域では,切迫流産の予後判定や異常妊娠の診断,胎芽・胎児の発育の診断,胎児奇形の診断,胎盤の位置や異常の診断などに用いられており,その有用性は多くの臨床家の経験するところである。一方,婦人科領域においては,腫瘍の大きさ,発生部位,その性状,ことに病理学的な性状についての術前診断に用いられており,きわめて有用であるとする報告が専門家によってなされている。
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