今月の臨床 早期癌—診療ストラテジー
卵巣癌
診断
22.腫瘍マーカー—卵巣癌スクリーニングや早期診断への応用の試み
塚﨑 克己
1
,
宇田川 康博
1
,
野澤 志朗
1
1慶應大学医学部産婦人科
pp.774-776
発行日 1994年6月10日
Published Date 1994/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901783
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卵巣癌は,発生臓器が解剖学的に非直達的位置に存在し,しかも無症候性に進行するものが多いことから,臨床的悪性度や死亡率がきわめて高く,その早期診断法やスクリーニング法の開発が望まれている.
卵巣癌の診断法としては,超音波断層法やCT・MRIなどの画像診断や腫瘍マーカーが有用であるが,卵巣癌の絶対数が10,000人に2〜3人と少ないことから,スクリーニングに画像診断を行うことは時間的,経済的にも大変であり,内診や腫瘍マーカーなどによる高危険群の絞り込みが早期癌の発見効率を向上させる上からも必要と思われる.しかしながら従来用いられてきた卵巣癌に対する腫瘍マーカーの測定法では,早期癌(I期)での陽性率が低く,しかも偽陽性などの問題もあり1),必ずしも早期診断法として適しているとは言えなかった.そこで本稿では,これらの問題点を考慮に入れ,腫瘍マーカーを卵巣癌のスクリーニングや早期診断に応用するために我々が試みているいくつかの工夫について述べる.
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