今月の臨床 頸癌,体癌—診療の現況
基礎
4.子宮頸癌・体癌の腫瘍マーカー
久布 白兼行
1
,
宇田川 康博
1
,
塚崎 克己
1
,
野澤 志朗
1
Kaneyuki Kubushiro
1
1慶慮義塾大学医学部産婦人科
pp.1400-1403
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901533
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婦人科悪性腫瘍のなかで,子宮頸癌は近年罹患率,死亡率ともに減少しているのに対して,子宮体癌は増加しつつあり,現在,全子宮癌のうち体癌が15〜30%を占めるといわれている。子宮頸癌は,細胞診,腟拡大鏡診,組織診を併せた早期診断法の確立と集団検診の普及により,腫瘍マーカーを用いた診断は,おもに癌の治療効果判定のモニタリング,再発のチェックのために利用されている。一方,体癌に関しては,検診における内膜細胞診が普及してきたとはいえ,細胞診判定の正診率が頸癌の細胞診のそれに比してやや劣るという問題点を有している。また,体癌の腫瘍マーカーにはいまだ有用なものがあるとはいい難いのが現状である。
本稿では,頸癌と体癌におけるおもな腫瘍マーカーについてその陽性率を中心に述べ,さらに,体癌に関しては,当研究室で開発した新たな補助診断法についても言及したい。
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