今月の臨床 子宮外妊娠—up to date
鑑別とFollow upのポイント
17.子宮外妊娠誤診のリスク
矢追 良正
1
,
生山 博
1
,
渡部 秀樹
1
,
三ツ矢 和弘
1
,
瀬川 裕史
1
,
榎本 英夫
1
,
大久保 典義
1
,
松永 啓伸
1
Yoshimasa Yaoi
1
1獨協医科大学越谷病院産婦人科
pp.392-393
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901241
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子宮外妊娠は産婦人科ではその生命危機に関わる疾患の1つとしてきわめて重要であり,産婦人科医のつねに念頭にある疾患であるために,産婦人科医師間では診断はきわめて容易であると思われている1)。子宮外妊娠との診断で対応し,万が一子宮外妊娠以外であった場合でもそれは幸いであったから許容されてきた。しかしながら検屍の結果,妊産婦直接死亡例における外妊死亡例は9.3%(30/324)であり,他の病名で診断されていて実は死因が子宮外妊娠であったものは53.3%(16/30)と実に多く,死因子宮外妊娠の半数が他の病名であったという事実はそれが産婦人科以外の科で行われていたにしろ事は重大である1)。近年の医療を取り巻く環境の変化はそのどちらをも許さない状況にあり,産婦人科医療の実際では,さらに慎重な対応が求められている。
過去における子宮外妊娠は,ダグラス窩穿刺により非凝固件血液を採取して初めて確定診断していたが,近年の医学の進歩はさらに早期の診断を可能としている2)。過去における確定診断では,たとえ救命し得たにしても,出血によるショックやDIC,貧血に対する輸血などの対応が予後を不良とするがゆえに早期診断による対応が必要である3)。
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