今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTの問題点
22.流産率が高いのをどうするか
吉田 信隆
1
1社会保険広島市民病院産婦人科
pp.188-189
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901618
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ARTと流産率
自然妊娠における流産率はせいぜい10%前後であるが,1991年のアメリカ合衆国のARTにおける流産率の統計1)では,IVF:19.9%,GIFT:21.6%,ZIFT:19.2%,Donor:18.3%,凍結卵の使用:22.9%といずれもARTの場合の流産率が高いことが示されている.しかしながら,流産率の高いのはARTにおける妊娠のみではなく,一般の不妊治療における妊娠の流産率は同等の値を示している.これは不妊治療後の妊娠・ARTによって成就したいずれの妊娠でも,非常に早期に妊娠の診断がつくことにより,自然妊娠では微細流産に陥って妊娠に数えられない初期流産を流産として数えることとなる可能性があり,これが高い流産率の原因の一つと考えられる.とくにARTが開始された初期にはpreclinical abortion(微細流産)が17%,臨床的な流産が16%などの報告もみられ,当時は体外受精における着床率を問題にしていたことが現れている.
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