原著
悪性上皮性卵巣腫瘍に対する化学療法(CAPF)の免疫能に及ぼす影響について
高見沢 実
1
,
奈良 俊作
1
,
林 和人
1
,
依光 毅
1
,
方 世錝
1
,
小関 みづほ
1
,
松田 隆夫
1
,
三ツ矢 和弘
1
,
榎本 英夫
1
,
高橋 一久
1
,
林 雅敏
1
,
大蔵 健義
1
,
矢追 良正
1
Minoru Takamizawa
1
1獨協医科大学越谷病院産科婦人科学教室
pp.197-201
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207956
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悪性上皮性卵巣腫瘍の後療法としては,現在cisplatinを中心とする多剤併用療法が主流である。このような寛解導入化学療法により治療成績も向上した反面,骨髄抑制による白血球の減少,これに伴う発熱といった副作用の発生は避けて通れない問題である。今回,化学療法の主流であるCAPF療法の宿主に対する免疫能の影響について,リンパ球サブセット,PHA幼若化反応,NK細胞活性,ならびに免疫グロブリンの変動より検討した。結果は従来より指摘されているように抑制的に作用した。しかしCD3,CD4陽性細胞で増加傾向が認められ,CD8陽性細胞で殆ど変動が認められなかったことより,CD4/CD8比が一過性に増加するというCD3+,4+,8−を誘導する作用が認められた。このことはCAPF療法が全ての免疫能に対して抑制的に作用するのではなく,免疫応答よりみた場合,促進的に作用しうる可能性があることを示唆するものといえる。
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