今月の臨床 婦人科における検査法—有用性と再評価
腫瘍
6.子宮頸癌,体癌,卵巣癌で腫瘍マーカーをどう選択するか
尾縣 秀信
1
,
加藤 紘
1
1山口大学医学部産科婦人科
pp.956-958
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903030
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腫瘍マーカーとは,腫瘍の産生する物質や腫瘍に対する生体反応物質など,蛋白質や糖鎖抗原から遺伝子変異あるいはその産物までさまざまで,検体も血清から組織切片まで含まれる.この多種多様な腫瘍マーカーの存在に対し,最近米国ではその有用性を再評価し,整理するシステムが提唱されたが1),ここでは腫瘍マーカーの臨床的有用性について,癌の危険度判定,スクリーニング,鑑別診断,予後判定,治療後のモニターなどの項目において対象となる腫瘍マーカーが治療に貢献し,患者の予後を改善させる可能性があるか否かについてスコア化を行った.医療費の抑制が求められるなかで腫瘍マーカーの再評価の問題は日本でも重要となろう.
腫瘍マーカーの選択法の原則については表1に示したように各腫瘍に対して組織選択性腫瘍マーカーのなかから選び,余裕があれば汎用マーカーのなかから追加するのがよい.またCA125とCA130やCA602,あるいはCA19-9とCA50やKM01など同一物質と考えられるものを重複して測定することも避けたい.婦人科悪性腫瘍のなかでは,扁平上皮癌に対するSCC抗原と腺癌に対するCA125が代表的な腫瘍マーカーと考えられるので,ここではそれら2種類の腫瘍マーカーを中心に最近の評価を述べる.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.