今月の臨床 胎児環境をチェックする
双胎間輸血症候群
13.胎外診断のポイント
吉田 啓治
1
Keiji Yoshida
1
1東京医科大学霞ヶ浦病院産婦人科
pp.1307-1309
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901509
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双胎間輸血症候群(TTTSと略す)とは,従来の概念では,一絨毛膜性双胎において両児間に存在する胎盤内血行吻合を通じ,一方の児から他方の児に持続的に血液が流入し,両児間に発育差を生じ,大きな児と小さな児,多血児と貧血児,羊水過多と羊水過少などを生じた場合をいうのであるが,現在のところ厳密な定義は決まっていない。
一般的には,Rausenら1)の血色素量差5.0g/dl以上,Tanら2)の体重差20%以上(25%以上をとるものもある)などが本症候群に当たるとしているが,最近の研究によれば,必ずしもこの条件に適合しない症例も存在するようである。すなわち,胎内での双胎間の血流動態はかなり複雑のようである。現在のところ,胎外診断のポイントとしては,次のことが考えられる。
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