今月の臨床 外陰の診かた
疾患のポイントと私の治療法
16.急性外陰潰瘍
松下 光彦
1
Teruhiko Matsushita
1
1徳島県立三好病院産婦人科
pp.730-732
発行日 1993年6月10日
Published Date 1993/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901336
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婦人の外陰部は,局所解剖学的な構造およびその位置から生理的にもつねに衣服などとの摩擦による機械的刺激や,帯下,経血,尿,糞便などの汚染による化学的刺激を受けやすいなどさまざまな要因が絡み合って,体の中でも病変の起こりやすい部位のひとつである。
また,日常診療においては外陰部に潰瘍を認める症例に遭遇することはさほどまれなことではない。しかしその病態は多岐にわたり,視診のみでこれを的確に診断することは必ずしも容易ではない。それは発病後の日時の経過,病勢の強弱,二次的感染の有無,全身疾患の一部分症の場合,あるいは悪性疾患の末期の病態の場合などが診断を困難にしている。さらに視診上は潰瘍のように見えても病理組織学的にはびらんであったり,発病初期は単なるびらんであってもさまざまな刺激や二次的感染が加わることによって潰瘍化したものまでが含まれるためである。
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