今月の臨床 子宮全摘出術—私のコツ
広汎性子宮全摘出術
16.基靱帯処理
工藤 尚文
1
Takafumi Kudo
1
1岡山大学医学部産科婦人科
pp.183-185
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901184
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産婦人科を専攻する医師にとって,広汎性子宮全摘術の術者となることは大きな努力目標の一つである。しかし,その手術完遂には婦人科手術の中では最も高度な手技と精神的緊張が要求され,中でも基靱帯の処理は,広汎性全摘術のハイライトとも言うべきものである。不完全な基靱帯処理は後続する手術操作を困難にさせるばかりではなく,術中・術後の大量出血を招き,患者を致死的状態に至らしめる可能性さえある。
熟練した術者がさりげなく行っている基靱帯処理は,女性の骨盤内解剖学の十分な理解と経験に基づいた操作であることを忘れてはならない。子宮単純全摘術が骨盤解剖の平面的理解で行われるとするならば,広汎性全摘術の,とくに基靱帯処理操作には骨盤解剖の立体的把握が必要ということができよう。
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