今月の臨床 排卵—誘発と抑制の実際
誘発法の実際
11.GnRHパルス状投与
中村 幸雄
1
,
安藤 索
1
,
吉村 泰典
1
Yukio Nakamura
1
1杏林大学医学部産科婦人科
pp.1060-1062
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900997
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Gonadotropin releasing hormone(GnRH)は視床下部より90〜120分間隔で律動的(pulsatile)に放出され,下垂体前葉を刺激し,gonadotropinすなわちluteinizing hormone(LH),folliclestimulating hormone(FSH)分泌の調節を行っている。GnRHは1970年代初頭に分離,合成された10個のアミノ酸からなる視床下部性のdecape—ptideで,その後視床下部—下垂体系におけるGnRHの律動的分泌の役割に関する研究が進められ,1980年にはGnRH律動的投与による排卵誘発によって最初の妊娠例が報告されている。
外因性GnRHの大量,連続的投与は,一過性のflare up現象の後,下垂体のdesensitization(down regulation)が惹起され,LH, FSH分泌は低下する。一方,GnRHの律動的投与は,下垂体GnRH receptor数を増加させ,この低下を回復させる。これらのことから外因性GnRHを律動的に投与して,gonadotropin分泌を促進し,排卵誘発,正常月経周期の回復を行おうとする方法であり,その適応や投与方法について概説する。
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