今月の臨床 不妊治療の進歩
体外受精と関連手技
23.マイクロ受精法応用の展望
小田原 靖
1,2
Yasushi Odawara
1,2
1スズキ病院産婦人科
2東京慈恵医科大学産婦人科
pp.460-462
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900820
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男性因子不妊患者の治療法として現在IVF-ETが広く用いられているが,IVFで受精し得ない症例も少なくない。スズキ病院での男性因子不妊症例のET率/OPUは56.4%であり,他因子症例の80.4%に比べ有意に低値である。(1991年1月〜6月)また,いわゆる原因不明不妊症と診断される通常の精液検査で異常を認めない症例の中にも体外受精で全く受精しない症例が存在する。IVF非受精例の卵子では受精例にくらべ透明帯付着精子数は有意に少なく,付着0の卵子も多い。このことは受精障害例に精子—透明帯接着障害あるいは精子の透明帯通過障害が存在することを示唆している。そこで透明帯の一部を切開し,精子透明帯接着をBypassする方法や,囲卵腔内に精子を注入する方法が受精率を向上させる手段として注目されている。1991年11月の日産婦理事会でも“顕微授精法の臨床実施に関する見解”について検討され,わが国でも顕微授精法の実施が期待される。ここでは諸外国における顕微授精法の現況およびわれわれの知見について述べる。
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