今月の臨床 妊娠と免疫
不妊・不育症と免疫異常
16.抗卵透明帯抗体
鎌田 正晴
1
,
大頭 敏文
1
,
青野 敏博
1
Masaharu Kamada
1
1徳島大学医学部産科婦人科学教室
pp.184-185
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900741
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卵透明帯は,受精から着床にいたる過程で,精子レセプターを介する同種精子の付着,多精子受精の防止,分割卵の保護などの重要な生理機能を持ち,また着床期にはすみやかに胞胚から脱落しなければならない。これらの生理機能を阻害する抗体の存在は,当然不妊症の原因になると考えられ,実際異種免疫血清を用いた動物実験では,抗卵透明帯抗体による妊孕性の阻害が証明されている。ヒトにおける抗卵透明帯自己抗体の存在は,1977年のShivers and Dunberらの報告1)に始まり,以後多くの研究者により抗卵透明帯抗体と不妊症との関係が検討されている2,3)。徳島大学では,不妊症のルーチン検査として,2,000例を越える対象者につき検討を加えている。本稿では筆者らの成績を中心に不妊症における抗卵透明帯自己抗体の意義につき述べる。
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