今月の臨床 妊娠と免疫
免疫とは
3.液性免疫
野本 亀久雄
1
Kikuo Nomoto
1
1九州大学生体防御医学研究所免疫学部門
pp.146-147
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900728
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抗体産生のプロセス
B細胞の抗原認識多様性の獲得
複数の元素で構成される分子量1,000前後の立体構造は,抗体分子のN未端側の可変部とくに超可変部(hypervariable region, complementalitydetermining region:CDR)が相補的構造や荷電によって結合する対象となる。この抗原決定基は109〜11種類存在すると推定され,高等哺乳動物が産生し得る抗体の可変部の種類もそれに相当する数だけ要求される。1つのB細胞が産生する抗体分子は,同一の抗原決定基に結合する可変部をもち,1つのB細胞表面の抗原特異的結合部位(surface immunoglobulin:sIg)の可変部も均一であり,109〜11の異なるsIgをそなえたB細胞の種類が準備されることになる。可変部をコードするV(variable)分節(数百の遺伝子プール),D (diver—sity)分節(10前後の遺伝子プール),J (joining)分節(10以下の遺伝子プール)のgerm line状態(B前駆細胞)から,各分節の遺伝子が1つずつ選び出されて組み合わされ(combinational diver—sity),多様性の基本が構成される(遺伝子再構成gene rearangement)。さらに各分節の遺伝子が結合するポイントでの自由度から,多様性は増大する(junctional diversity)。
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