増刊号 免疫検査実践マニュアル
総論
Ⅰ.免疫反応の原理
1.液性免疫反応
吉野谷 定美
1
,
三上 恵世
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.18-22
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901869
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■抗体産生機構
今日の免疫学においては,生体内に侵入した異種抗原に対して,どのような免疫プロセスが働いてその抗原に対応する抗体を作っていくのか,という免疫学の根本的な現象について相当解明されてきている.しかし,いまだ不明の部分も多く,完全な抗体産生に至る過程の解明は将来に待たざるを得ない.
本稿では,抗体は通常の免疫操作を経て手に入れられるポリクローナル抗体を主体に考えることとし,人為的に作られるハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体を対象とする場合は,あらかじめ断わりを入れることとする.抗体産生に至る過程といえば,抗原の認識から始まり,その処理,抗体産生細胞への呈示,その後に生じるリンパ球間の細胞情報交換,サイトカインの産生,特異抗体産生プラズマ細胞形成,などなどの過程であり,基礎免疫学の最も重要な課題である.本稿ではこの抗体産生の過程については触れない.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.