原著
妊娠合併子宮頸部病変におけるHPV感染の分子生物学的検討
太田 さなえ
1
,
永井 宣隆
1
,
谷本 博利
1
,
藤本 英夫
1
,
大浜 紘三
1
Sanae Ota
1
1広島大学医学部産科婦人科学教室
pp.108-113
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900721
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妊婦に合併した子宮頸部病変(高度異形成4例,上皮内癌4例,浸潤癌2例)より得たパラフィン包埋切片に対し,ビオチン標識HPV6/11型,16型,18型DNAプローブを用いたin situ hybridization法または,E7領域をprimerとしたPCR法によりHPV DNAの検出を行った。
その結果,10例中9例(16型5例,18型4例)にHPV DNAが検出され,組織型別では,高度異形成の4例中3例に16型が,1例に18型が,上皮内癌4例のうち2例に16型,1例に18型が,浸潤癌2例に18型がそれぞれ検出された。治療はレーザー療法,手術療法を施行し,10例中9例は再発なく経過しているが1例は急速な発育を示し17ヵ月後死亡した。
妊婦に合併した子宮頸部病変の中にはHPV陽性で病変の急速な進行を認める症例もあり,今後妊婦に対するHPV感染検索を含めた子宮頸部病変のスクリーニングの重要性が示唆された。
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