Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
子宮頸部(4) HPV感染の細胞診
都竹 正文
1
,
手島 英雄
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2癌研究会附属病院婦人科
pp.1446-1447
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905658
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
HPV(human papilloma virus;ヒト乳頭腫ウイルス)が子宮頸癌の発癌過程に深く関与していることは,今日広く受け入れられている.特に前癌病変においては,細胞診でHPV感染を診断することが可能である.koilocyte,parakeratocyte(dyskeratocyte),smudged nucleus,giantcell,2核あるいは多核細胞の出現をもって細胞診断がなされている.
HPVにはおよそ90種類があり,うち子宮頸癌と特に関係があるとされるタイプは16,18,33,52,58型であり,これらのタイプが前癌病変で確認された場合は厳密な臨床管理,フォローアップが必要である.HPVは前癌病変の90〜95%に確認されている.尖形コンジローマからはHPV6,11型が確認されているが,このタイプのHPV型は発癌には関与しないとされている.図1に見られる腟壁の白色の隆起性病変(←①)および子宮腟部の白色上皮層(←②)が尖形コンジローマの病変で,いわゆるSTD(sexulally transmitted disease;性行為感染症)として臨床的に扱われる.この病変からは癌化しない.治療はレーザー蒸散術,凍結療法や抗DNA療法などが考慮される.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.