原著
子宮頸癌におけるc-myc遺伝子と—HPV16型の関連性の検討
谷本 博利
1
,
永井 宣隆
1
,
太田 さなえ
1
,
大濱 紘三
1
Hirotoshi Tanimoto
1
1広島大学医学部産科婦人科
pp.1129-1133
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901457
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子宮頸癌におけるc-myc遺伝子の増幅とmRNA過剰発現を検討するとともに,HPV(human papillomavirus)16型DNAおよびmRNAを検出し,c-myc遺伝子の変化とHPV16型の関連性について検討した。c-myc遺伝子mRNA過剰発現は0期(7.7%),I期(10.0%)と比較してⅡ期(57.1%)では高頻度にみられたのに対し,HPV16型は0期(69.2%),Ⅰ期(70.0%)と比較してⅡ期(28.6%)では検出頻度が低い傾向が認められた。また,c-myc遺伝子増幅が認められた2例にはHPV16型は検出されず,mRNA過剰発現の認められた6例のうちHPV16型が検出されたのは2例のみであった。逆にHPV16型が検出された18例のうちc-myc遺伝子mRNA過剰発現が認められたのは2例のみで他の16例ではmRNA過剰発現はみられなかった。これらの結果からc-myc遺伝子とHPV16型の明確な相互関係はなく,c-myc遺伝子異常はある程度進行した癌の増殖に関与するのに対し,HPV16型は主に発癌に関与すると推察された。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.