原著
子宮頸部病変におけるHPV genotypingとintegrationの頻度
中川 達史
1
,
平野 開士
1
,
小林 正幸
1
,
石田 克成
2
,
石田 世紀子
2
,
長﨑 真琴
2
1浜田医療センター産婦人科
2浜田医療センター研究検査科
pp.1451-1456
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102488
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子宮頸癌の95%以上にHPV(human papillomavirus)感染が確認され,その発癌過程においてとくにハイリスク型HPVの持続感染が関与していることがわかってきた.そこで今回,子宮頸部細胞診でclass IIIa以上の既往をもつ86症例に対して液状細胞診を行い,HPV genotypingとHPVゲノムのintegrationの有無を検出した.さらに,HPV陽性例の治療後におけるHPV陰性化について検討した.PCR-reserved hybridizationによってハイリスク型を含む計21種類のgenotypeを解析し,in situ hybridization(ISH)によってHPV DNAの核内での存在様式を染色し,integration patternおよびepisomal patternの割合を解析した.
子宮頸部病変におけるHPV陽性率は97.9%で,遺伝子型別では52型が最も多く,次いで16型,18型であった.ASC,LSIL症例においても一部の細胞ではintegrationが観察され,細胞異型が強くなるにつれintegration patternの頻度が増加した.治療後のHPV陰性化率は約90%であった.
液状細胞診を用いてHPVのgenotypeを判定し,integrationの頻度を評価することは,子宮頸部前駆病変のハイリスク群を抽出でき,治療方針を立てるうえで有用と考えられた.
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