今月の臨床 難治性合併症を診る—婦人科
難治性感染症
24.骨盤内感染症(PID)
野口 昌良
1
1愛知医科大学産婦人科
pp.1256-1257
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901925
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骨盤内感染症(PID)の定義
婦人科領域の感染症は内性器感染症と外性器感染症とに大別される.このうちの内性器感染症が卵管性不妊症や子宮外妊娠の原因となるが,米国において細菌感染による骨盤内炎症性疾患をPID(pelvic inflammatory disease)と総称したことより,このPIDが骨盤内感染症を表すものとして広く用いられるようになった.とはいえ,骨盤内感染症とは,卵巣および子宮付属器とその周辺のさまざまな病態を含むため,あまり明確なものではない.そこで近年,骨盤内感染症(PID)を“子宮頸管より上部の性器に発症する上行性感染であって付属器(骨盤内膿瘍を含む)を中心とした疾患”,という明確な位置づけがされた.
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