Current Research
子宮頸癌の温熱療法
河野 一郎
1
Ichiro Kono
1
1川崎医科大学産婦人科学教室
pp.485-493
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900398
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はじめに
温熱療法はハイパーサーミアHyperthermiaともいい,近年癌の治療の中で次第にその有用性が高く評価されるようになってきた。温熱と癌との関わりについては癌の自然治癒例などを通じて古くから知られていたが,温熱療法として基礎的な研究が盛んになり,臨床での応用が試みられるようになったのは世界的にも1970年代以降のことであり,われわれの研究も1970年代の後半に始まった1)。温熱療法は実験上は単独でも効果がみられるが,臨床的には温熱による単独治療には限界がある。従って通常は放射線治療あるいは化学療法と併用される。温熱療法が今日注目されるようになったのはむしろ放射線治療や化学療法とのすぐれた併用効果を通じてであり,現行の放射線治療や化学療法の効果を改善,強化するものとして期待されている。
婦人科領域の進行・再発癌はこれまで放射線治療または化学療法によって治療されてきたが,その成績は必ずしも満足すべきものではなかった2,3)。そこでこれらの治療効果をたかめるものとして温熱療法の導入をはかり,基礎的および臨床的な検討を行ってきた4〜6)。今回はその中で特に子宮頸癌に関連した成績をまとめて報告する。
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