今月の臨床 月経とその異常
月経異常と全身疾患
18.やせと月経異常
中村 幸雄
1
Yukio Nakamura
1
1杏林大学医学部産婦人科
pp.432-435
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900378
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やせとは体脂肪組織が減少をきたした状態であり,従来の体重より10%以上の減少がみられた場合,自,他覚症状として現われることが多い。多くは,器質的あるいは精神的疾患に伴って栄養量のバランスがくずれることによって発現する。器質的な原因としては,消化器疾患や尿毒症などの内科的疾患があるために食欲不振になり栄養摂取量の減少する場合,代謝の亢進により通常の栄養摂取では相対的にエネルギーバランスが負になる場合などがある。その他,薬物の副作用で食欲不振となることがある。また高齢者の場合には悪性疾患,若年者では自己免疫性疾患や甲状腺疾患などを考慮に入れなければならない。このような原因のある食欲不振に,精神的な要因が加わることがあるが,特に若年者の場合,それに伴う性機能の低下が問題となってくる。
近年若年女性は,“やせ”に対する強い願望をもっており,美容上の目的から無理な減食を行ったり,ストレスから拒食におちいることも多い。ここでは,社会的にも注目されている体重減少性無月経を中心として述べる。
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