臨床研修セミナー 手術手技
VI.子宮形成手術
子宮奇形の形成手術—主に不妊・不育症治療法として
ストラスマン手術の適応と手技
楠田 雅彦
1
Masahiko Kusuda
1
1国家公務員等共済組合連合会佐世保共済病院
pp.888-892
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900172
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Ⅰ.子宮形成術の概要
子宮奇形の形態的分類は未だ完全に統一されたものはなく,名称には若干の混乱が見られる。Buttram & Gibbons1)によって提唱されたMüller管の発育異常の分類が発生学的に合理的であるが,ここで直ちに引用すると理解し難いむきもあると思われるので,従来本邦で慣用されているStrassmannの古典的分類に従って記述することとする。
いわゆる重複子宮などの子宮奇形を有する婦人に流産率が高く,かつ不妊も多いことは古くから知られていた。子宮形成術の最初の報告はMauriceau F(1672)といわれるが,Ruge P(1984)9)は2回の流産歴を有する婦人に子宮中隔切除を行って満期産で生児を得たと報じ,Paul Strassmann(1907)7)は経腟的に8例の形成術を施行し,その息子のErwin Strassmann(1962)は自験例と他の報告例を合わせた多数例をまとめて報告6)し,Strassmann手術として以後広く知られるようになった。
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