新しい視点をさぐる 薬物療法のBlind Spots
内分泌異常における排卵誘発剤
楠田 雅彦
1
Masahiko Kusuda
1
1九州大学医学部産科婦人科学教室
pp.323-326
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205820
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その使用主目的が排卵誘発でないにせよ,ある条件下においては排卵誘発作用を有する物質,あるいは補助的に排卵誘発剤と組合せて使用すると有効率を上げるような物質も種々知られている。甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモン剤,副腎皮質機能亢進症に対する副腎皮質ホルモン剤,高プロラクチン症に対するbromocryptineなどは前者に属する代表的なものであり,ビタミンCやカリクレイン,種々の向神経薬などは後者に属する。そのほかestrogen,gestagenなどの性ホルモン剤やLH-RHも,ある条件下では排卵誘発作用を有している。また排卵誘発を目的として開発されながらもついに市販に至らなかったepimestralのごとき物質や現在わが国でなお臨床研究の段階にあるtamoxifene (Nolvadex)のような薬剤まで加えるとかなり多種にのぼる。
現在,わが国で広く市販され応用に供し得るいわゆる排卵誘発剤はPMSG,HMG,HCGなどに代表されるgonadotropin剤と,clomiphene citrate(Clomid)に代表される経口排卵誘発剤と考えて差支えないであろう。従って本稿ではこれらを中心に,一部最近の新薬について,いくつかのblind spotsを取上げてみたい。
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