年間テーマ--診断から治療へ 性器形態の異常
不妊と形態異常
楠田 雅彦
1
Masahiko Kusuda
1
1九州大学医学部産科婦人科学教室
pp.507-512
発行日 1975年7月10日
Published Date 1975/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205198
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女性不妊と形態異常の問題を論ずるに際し,論述に誤りを招き易い問題を含んでいることに気づく。すなわち,形態という語には単に「かたち(shape)}のほかに,「大きさ(size)」の意味も含まれており,つきつめると両者は別々に切り離して考えられない相互関係にあることが多い。例えば子宮奇形はshapcの異常であるが,筋腫などによる変形も広義にはこれに含まれるであろう。子宮発育不全や,筋層の肥厚による筋腫様の肥大はsizeの異常と考えて良いであろうが,sizeの異常はしばしば,その原因となる機能の異常を伴つていることが多い。このようにshapeとsize,原因となる機能異常にまで筆を進めることは限られた紙面では到底できることではないので,このような点をわきまえて,論述のすすめ方に多少の不均衡があることを了承して頂いた上で,まず,体型,体質と呼ばれる表現型との関係についてのべ,ついで妊孕現象に密接に関係する内外性器部位の形態の異常について,その診断と治療を中心に述べて行きたい。
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