特集 産婦人科における機能性疾患
機能性性器出血—機能性子宮出血の病態生理を中心に
楠田 雅彦
1
Masahiko Kusuda
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.27-36
発行日 1973年1月10日
Published Date 1973/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204767
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ごく常識的に考えると,機能性性器出血とは,はつきりした器質的原囚が認められない性器出血すべてを指すことになる。出血部位となる性器としては卵巣,卵管,子宮内膜,頚管,子宮腟部,腟,外陰などがあげられる。卵巣からの出血は外出血として認められることはまずないし,卵管からの出血は急性卵管炎,卵管妊娠に限定され,これらは機能性疾患ではない。また頚管,子宮腟部,腟,外陰よりの出血も機能性のものは考えられず,わずかに幼女や老人の腟炎にみられる出血が病因的に機能的なニュアンスを含んでいるに留まる。
したがつて機能性性器出血は機能性子宮内膜出血と同意語と解釈されるので本稿では従来慣用されている機能性出血について,その機能障害としての病態生理を中心に考察してみたい。
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