臨床経験
腹腔鏡下手術で治療しえた卵巣妊娠6例の検討
夏山 貴博
1,2
,
佐原 裕美子
2
,
草壁 愛
2
,
別宮 史子
2
,
松井 萌
2
,
小菊 愛
2
,
登村 信之
2,3
,
森上 聡子
2
,
近田 恵里
2
1明石医療センター産婦人科
2神戸市立西神戸医療センター産婦人科
3登村レディスクリニック
pp.1266-1269
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211118
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▶要旨
異所性妊娠は全妊娠の0.5〜1.0%で発生する.卵管妊娠が95〜97%と大部分を占め,卵巣妊娠は0.5〜3%に発生するまれな病態である.卵管妊娠と術前に誤診されることが多く,破裂のリスクも高いとされている.そこで,当院で2013年1月から2022年12月までの10年間に腹腔鏡下手術を施行した卵巣妊娠6例と卵管妊娠95例の2群間の患者背景,術前所見,手術所見について検討した.
患者の背景に有意差はなかった.術前所見は卵管妊娠で性器出血が有意に多く,手術所見では卵巣妊娠で破裂をきたした症例が有意に多かった.また,術前の経腟超音波で腹腔内貯留液を認めた卵巣妊娠6例と卵管妊娠66例も比較したが,卵管妊娠で有意に多く性器出血を認めた.
異所性妊娠の患者において経腟超音波で腹腔内貯留液を認めても性器出血を認めない場合は,卵巣妊娠の可能性を念頭に置いて早期の手術を検討するべきである.
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