症例
腹腔鏡手術後に前皮神経絞扼障害を生じた1例
小菊 愛
1
,
一宮 素奈
1
,
濱田 一磨
1
,
別宮 史子
1
,
森上 聡子
1
,
近田 恵里
1
,
佐原 裕美子
1
1神戸市立西神戸医療センター産婦人科
pp.669-672
発行日 2025年7月10日
Published Date 2025/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790070669
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▶要旨
前皮神経絞扼障害は,腹壁に分布する皮神経が障害されることで痛みを生じる病態である.今回,腹腔鏡手術を行ったのちに発症したと考えられる症例を報告する.
症例は42歳.既往歴に先天性水頭症と虫垂切除術がある.精査の結果,子宮内膜異型増殖症の診断に至り,腹腔鏡下単純子宮全摘術と両側卵管切除術を実施した.手術から2週間後,右下腹部痛を主訴に受診した.血液検査と腹部CT検査にて異常所見は認めず,対症療法とした.その後も右下腹部痛が持続したため,当院総合内科にコンサルトした.診察にて前皮神経絞扼障害が疑われ,疼痛部位に1%リドカイン液を局所注射することで疼痛の軽快を確認した.2週間後には疼痛は消失し,それ以降,疼痛の再燃はない.
今回,われわれは手術瘢痕が原因と考えられる前皮神経絞扼障害の症例を経験した.この神経障害はtrigger point injectionが著効する症例が多く,常に念頭に置いて診療に携わる必要がある.

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