症例
腹腔鏡下手術後に診断された囊胞性顆粒膜細胞腫の1例
登村 信之
1
,
近田 恵里
1
,
三村 裕美
1
,
小菊 愛
1
,
森上 聡子
1
,
佐原 裕美子
1
,
川北 かおり
1
,
佐本 崇
1
,
橋本 公夫
2
,
嘉納 萌
3
,
吉田 茂樹
3
,
竹内 康人
1
1神戸市立西神戸医療センター産婦人科
2神戸市立西神戸医療センター病理診断科
3愛仁会千船病院産婦人科
pp.501-506
発行日 2019年5月10日
Published Date 2019/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209733
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▶要約
症例は38歳.がん検診目的で受診した近医にて左卵巣囊腫の指摘を受け,当院を紹介受診.超音波検査・MRI検査にて,単房性で充実部分のない約7cmの左卵巣囊腫を認めた.腫瘍マーカーの上昇もなく,上皮性良性卵巣腫瘍の診断で腹腔鏡下左卵巣腫瘍摘出術を施行.腫瘍壁は非常に薄く,術中破綻.術中迅速診断ではfollicular cystで悪性所見なし.永久標本では,囊胞性顆粒膜細胞腫の診断であった.妊孕性温存希望のため,腹腔鏡下左付属器切除術+大網切除+腹腔内洗浄細胞診+腹腔内観察を追加で行った.追加切除標本では遺残病変なしであった.術中破綻を認め,stageⅠCとなったため術後補助化学療法としてPVB療法を4クール施行.術後3年経過し,再発兆候は認めていない.本症例では充実部分を認めない単房性囊胞性腫瘤であったため診断に苦慮した.腹腔鏡下手術を行うにあたっては予期せぬ境界悪性・悪性腫瘍に遭遇する可能性があることを念頭に置いて手術操作を行う必要がある.
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