症例
23年の長期経過後にGrowing teratoma syndromeと推定された1症例
山尾 佳穂
1
,
棚瀬 康仁
1
,
新納 恵美子
1
,
植田 陽子
1
,
橋口 康弘
1
,
杉本 澄美玲
1
,
岩井 加奈
1
,
森岡 佐知子
1
,
山田 有紀
1
,
川口 龍二
1
,
佐道 俊幸
1
,
小林 浩
1
1奈良県立医科大学産科婦人科学教室
pp.399-404
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209632
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▶要約
Growing teratoma syndrome(GTS)とは,胚細胞腫瘍に対する化学療法中または後に病変が緩徐に増大し,その病変が病理学的に成熟奇形腫を呈する疾患である.GTSは診断までに数年を要した症例も報告されているが,20年以上経って診断された症例は稀少である.今回,初回治療から23年を経てGTSと推定された1例を経験したので報告する.症例は46歳,未産婦.近医内科で腎機能障害の精査の際に腹腔内腫瘍を指摘され,CA125,CA19-9の上昇から婦人科疾患を疑われ当科へ紹介となった.腹部単純CT検査にて,腹腔内に著明な石灰化と脂肪を含有する複数の腫瘤性病変を認め,肝臓実質まで病変を認めた.既往歴として,23歳時に他院で進行卵巣癌の診断で,手術加療および術後化学療法が施行されていたが詳細不明であった.既往歴と諸検査の結果よりGTSが第一に考えられた.開腹術での腫瘍生検を行ったところ,標本の病理組織診断は成熟奇形腫であり,GTSと推定された.
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