原著
卵巣成熟囊胞性奇形腫の再発に関する検討
森岡 佐知子
1
,
棚瀬 康仁
1
,
岩井 加奈
1
,
新納 恵美子
1
,
山田 有紀
1
,
小池 奈月
1
,
川口 龍二
1
,
小林 浩
1
1奈良県立医科大学産科婦人科
pp.685-689
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209121
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▶要約
卵巣成熟囊胞性奇形腫(mature cystic teratoma : MCT)は,全卵巣腫瘍の約15〜20%と比較的多く発生する良性の胚細胞性腫瘍である.腫瘍が大きくなれば手術療法が推奨されるが,術後の再発率や再発のリスク因子については報告が少ない.今回,当科で過去10年間にMCTに対して卵巣温存手術を行った230例を対象に,再発のリスク因子について後ろ向きに検討した.再発を認めたのは18例であり,全体の再発率は7.8%(18/230),5年累積再発率は18.6%であった.再発までの観察期間中央値は55か月(3〜192か月)で,術後5年以上を経て再発を認めた症例が61%(11/18)であった.累積再発率におけるリスク因子の検討では,年齢30歳未満(ハザード比2.62,95%信頼区間1.34─5.67)と茎捻転・破裂あり(ハザード比2.19,95%信頼区間1.09─4.16)の2つの因子が抽出された.30歳未満の若年者や術中に茎捻転・破裂の所見を認めた場合は,再発を念頭において年単位の長期フォローアップが必要である.
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