薬の臨床
Chemotherapy induced anemiaに対するカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)の有効性に関する検討
川口 龍二
1
,
前花 知果
1
,
西川 恭平
1
,
福井 陽介
1
,
杉本 澄美玲
1
,
河原 直紀
1
,
岩井 加奈
1
,
山田 有紀
1
,
木村 文則
1
1奈良県立医科大学産婦人科学講座
pp.1147-1152
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211391
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▶要旨
静注鉄剤であるカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)のがん化学療法による貧血(chemotherapy induced anemia : CIA)に対する有効性について,後ろ向きに検討を行った.2023年9月から2024年1月までに当科で婦人科がんに対してがん化学療法を行い,貧血のためフェインジェクト®の投与を行った11例を対象として,フェインジェクト®最終投与から15日目までのヘモグロビン値の変化,予定の抗がん剤投与中の輸血の有無,抗がん剤の休薬・減量・延期の有無について,後ろ向きに検討を行った.フェインジェクト®投与群のヘモグロビン値の推移は,投与前7.6±0.6(Mean±SD)g/dL,投与8日目で7.7±0.9g/dL,投与15日目で8.4±1.1g/dLであり,投与8日目に比べ15日目で有意にヘモグロビン値は上昇した.輸血を要した症例は2例で,貧血のため抗がん剤の休薬・減量・延期を有した症例は1例のみであった.CIAに対してフェインジェクト®は有効な薬剤である可能性が示唆された.
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