症例
帝王切開瘢痕部に妊娠した侵入奇胎の術前診断で全腹腔鏡下子宮全摘出術を施行した1例
生駒 洋平
1
,
溝上 友美
1
,
坪倉 弘晃
1
,
佛原 悠介
1
,
村田 紘未
1
,
吉村 智雄
1
,
生田 明子
1
,
北 正人
1
,
神崎 秀陽
1
,
岡田 英孝
1
1関西医科大学産婦人科
pp.585-589
発行日 2017年6月10日
Published Date 2017/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209102
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▶要約
絨毛性疾患は生殖年齢に好発し化学療法が奏効するため,子宮を温存できることが多い.今回,帝王切開瘢痕部に妊娠した侵入胞状奇胎(侵入奇胎)の診断のもと,全腹腔鏡下子宮全摘出術を施行した稀な症例を経験した.症例は35歳,4経妊3経産(帝王切開3回).部分胞状奇胎が疑われたため当科へ紹介受診となった.妊娠9週相当で血中hCGは高値(48,276mIU/mL)であり,画像所見からも侵入奇胎が疑われた.穿孔・大量出血の危険性を伴うこと,妊孕能温存の希望がないことより,化学療法や子宮内容除去術は施行せず全腹腔鏡下子宮全摘出術を選択した.絨毛組織が付着した子宮前壁筋層は菲薄化していたが,定型通り手術は遂行でき,術後,血中hCG値は速やかに下降した.帝王切開瘢痕部の侵入奇胎において,全腹腔鏡下子宮全摘出術は安全に遂行でき根治性の高い治療法と考えられた.
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